ミラノ・コルティナ五輪のスノーボード女子スロープスタイル。金メダル候補筆頭だった村瀬心椛選手が手にしたのは「銅メダル」でした。
完璧に近いランを見せ、着地でガッツポーズを作った彼女に対して下されたスコアに、テレビの前で「なぜ?」と声を上げたファンも多かったはずです。
実は、この「不可解」とも言える採点の裏には、近年のスノーボード界で急速に進んでいるルール解釈の激変と、特定の国が有利になりかねない構造的な問題が潜んでいます。
この記事では、独占インタビューや最新の競技傾向を元に、なぜ今スノーボードの採点が「おかしい」と感じられるのか、その核心に迫ります。
この記事を読むと、以下のことがわかります
- 村瀬心椛選手がスロープスタイルの採点に対して抱いた「率直な違和感」の正体
- 近年スノーボード界で密かに行われていた「採点基準のルール変更」と海外勢の動き
- なぜ「高回転=高得点」というこれまでの常識が通用しなくなっているのか
- 不透明なジャッジ体制が選手や競技の未来に与える深刻なリスク
不可解採点と言われる理由は?スノボ五輪の採点がおかしいと感じる視聴者の疑問
ミラノ五輪のスロープスタイル決勝を終えた直後、SNS上では「村瀬心椛の点数が低すぎる」「ジャッジの基準がバラバラで意味がわからない」といった投稿が相次ぎました。
視聴者が感じた違和感は、単なる判官びいきではありません。そこには、競技の専門家や選手本人ですら困惑するほどの「スコアの不整合」が存在していました。
視聴者の期待とジャッジの乖離
多くのファンが「おかしい」と感じた最大の理由は、村瀬選手が繰り出した高難易度なジャンプと、それに対するリターンの低さです。
彼女は女子トップクラスの回転数を誇り、なおかつ着地も完璧に決めていました。対して、彼女より回転数が低く、滑りの勢い(フロー)が同程度に見える海外選手に高いスコアが出るシーンが目立ちました。
この「見た目の凄さとスコアの逆転現象」が、不可解採点という不信感を生んでいます。
ジャッジごとに異なる評価軸の謎
スノーボードの採点は、複数のジャッジが全体的な印象(オーバーオール・インプレッション)やセクションごとの完成度を評価する仕組みです。
しかし、今大会では「特定のセクションでの微細なミス」を過剰に減点するジャッジがいる一方で、「ジャンプの難易度」を極端に低く見積もる傾向が見られました。この評価軸のブレが、選手たちに「何をすれば勝てるのかわからない」という疑念を抱かせる要因となっています。
以下に、今大会で指摘された「主な違和感」をまとめました。
| 項目 | 視聴者・選手の感覚 | ジャッジの実際の傾向(推測) |
| ジャンプの回転数 | 高回転ほど高得点であるべき | 回転数よりも「空中姿勢」や「余裕」を重視 |
| ジブ(レール) | 難易度の高い入れ方を評価してほしい | わずかな軸のズレや詰まりを厳しく減点 |
| 全体の流れ(フロー) | スムーズに繋いでいれば加点 | 独自のこだわり(スタイル)がないと伸びない |
| 得点の出し方 | 良い滑りには素直に高得点を | 上位陣を僅差にするための「調整」感がある |
採点基準の激変と村瀬心椛の告白!なぜ高難易度技が評価されにくくなったのか
「ぶっちゃけ……『なんで?』って感じです」。銅メダル獲得の翌日、村瀬心椛選手はそう語りました。
彼女自身、これまでのワールドカップでは経験したことのないような減点基準に戸惑いを感じていました。実は、スノーボード界ではここ1〜2年で、採点の「価値観」を根本から覆すような地殻変動が起きていたのです。
回転数至上主義の終焉と「クオリティ重視」への転換
かつてのスノーボードは、1260、1440、1620と回転数が増えるごとにスコアが積み上がる、いわば「足し算のスポーツ」でした。しかし、村瀬選手によれば「去年(2025年)あたりから、そんなに回っていなくても完璧に決めていたらいいよね、という風潮に変わった」といいます。
これは「高回転化しすぎて、誰が何を何回転しているか一般層に伝わりにくい」というテレビ映りへの配慮や、怪我のリスクを抑えるための建前もありますが、実際には**「高回転を得意とする日本人選手の独走を止める」**という側面も否定できません。
海外勢によるジャッジへの働きかけと「日本包囲網」の実態
驚くべきことに、この採点基準の変更には、選手側からの働きかけがあったといいます。
村瀬選手の証言によれば、海外のトップライダーたちがジャッジに対し「日本人が高回転で勝つなら、自分たちは違うことをやる。難易度よりも形やクオリティを重視するべきだ」と直接意見を伝えていたというのです。
実際に、北京で開催されたワールドカップでは、コーチを除いた選手とジャッジだけの会合が開かれ、そこで「どのような滑りを見たいか」というすり合わせが行われました。特定の国の強みを消すようなルール解釈の変更が行われることは、採点競技において極めてデリケートな問題です。ミラノ五輪での「不可解な低スコア」は、この「政治的な基準変更」が過剰に反映された結果である可能性があります。
独自の事情通視点:ジャッジも人間であるという「揺れ」
ここで一つ、スノーボード業界に精通する視点から補足すると、スロープスタイルのジャッジは「スノーボードとしてのクールさ」という極めて主観的な指標を排除できません。
日本人選手は、練習量に裏打ちされた「寸分違わぬ正確な高回転」を得意としますが、それがジャッジの目には「機械的で面白み(スタイル)に欠ける」と映ってしまうリスクがあります。
今回の村瀬選手の減点は、特にジブセクションで顕著でした。本人も「そんなに引くかなぁ……」と漏らした通り、わずかなバランスの崩れを「致命的なスタイルの欠如」として捉える傾向が今大会のジャッジグループには強く、それが日本人選手全体に逆風として働いたと考えられます。
フィギュアスケート等との比較!スノーボード特有のジャッジの曖昧さとリスク
「採点がおかしい」という議論は、フィギュアスケートや体操などの他の採点競技でも頻繁に起こります。しかし、スノーボードにはそれらの競技とは決定的に異なる「ルールの未整備さ」という構造的な欠陥があります。
ジブセクションでの不透明な減点基準
フィギュアスケートには、ジャンプの種類や回転数に応じた「基礎点」が明確に存在します。しかし、スノーボード、特にスロープスタイルには明確な基礎点表が存在しません。
特に「ジブ(レール)」セクションは、技の難易度よりも「いかにスムーズに、かっこよく通ったか」という印象論が先行しがちです。
村瀬選手が直面した「なぜか点が伸びない」現象は、この「印象評価」の不透明さが招いたものです。
難易度の高い技に挑戦してわずかに形を崩すよりも、簡単な技を余裕たっぷりにこなす方が高得点が出るという、スポーツとしての公平性に欠ける事態がしばしば発生しています。
過去の五輪でも起きていた「採点トラブル」の共通点
実は、スノーボードの採点トラブルは今回が初めてではありません。2022年の北京五輪でも、男子スロープスタイルで金メダルを獲得した選手の滑りに「ニーグラブ(板を掴む場所のミス)」があったにもかかわらず、ジャッジが見落として高得点を出したことが大きな問題となりました。
これらの共通点は、ジャッジがリアルタイムですべてのセクションを完璧に把握することが困難であるという物理的な限界です。ビデオ判定の導入も進んでいますが、最終的な「かっこよさの判断」が人間に委ねられている以上、ナショナリズムや特定のトレンドへの偏りを完全に排除することは不可能です。
今後のスノーボード界はどうなる?ファンが知っておくべき観戦の心得と選手への影響
ミラノ五輪での不可解な採点を経て、スノーボードという競技は今、大きな転換期を迎えています。選手たちは、ジャッジに迎合して自分のスタイルを変えるのか、それとも自分の信じる「強さ」を貫くのか、難しい選択を迫られています。
選手が直面する「自分の滑り」と「ジャッジ対策」の葛藤
村瀬心椛選手は、この状況に対して非常に潔い姿勢を見せています。「ジャッジに合わせにいかない」——彼女はそう言い切りました。ジャッジの顔色を伺って回転数を落としたり、無難な滑りにまとめたりすることは、彼女にとってのスノーボードではないからです。
しかし、すべての選手がこれほど強くはいられません。多くの若手選手は、勝つために「ジャッジ好みの滑り」を研究せざるを得なくなります。これが進むと、競技から個性が失われ、どの選手も同じような「減点されないための無難な滑り」ばかりになる恐れがあります。
構造的欠陥を解消するための課題と透明性
スノーボード界がこの「採点がおかしい」という批判から脱却するためには、以下の改善が必要だと思われます。
- 採点基準の数値化と公開: ジャンプの回転数やジブの難易度に対する「推奨スコア」を明確にし、事後に各ジャッジがどのセクションをどう評価したかを公表する透明性が必要です。
- AI判定の補助的導入: 体操競技のように、回転数や軸のズレをAIで正確に測定し、客観的なデータをジャッジに提供する仕組みの導入が待たれます。
- 選手・コーチ・ジャッジの対話の継続: 特定の勢力の意見だけでなく、公平な視点でのルール策定を行うための、よりオープンな議論の場が必要です。
ファンとして私たちができることは、目に見える「メダルの色」だけで選手の価値を判断しないことです。村瀬選手が銅メダルという結果に「なんで?」と笑いながらも、次の4年に向けて「本物のライダーになりたい」と前を向いたこと。その精神性の高さこそが、不透明な採点を超えた真の価値であると言えるでしょう。
不可解採点 スノボ 採点 おかしいに関するよくある質問
Q&A:なぜスノーボードの採点は後から変わることがあるのですか?
→ 基本的に一度確定したスコアがひっくり返ることはありませんが、大会後にビデオ検証が行われ、ジャッジの間で「次回の基準」として共有されることはよくあります。これが翌日の試合の採点傾向に影響を与えるため、連戦となる五輪では不公平感を生む一因となります。
Q&A:村瀬心椛選手が言った「猿みたいになりたい」とはどういう意味ですか?
→ 彼女独特の表現で、「準備運動なしですぐに動ける猿のように、考えすぎず感覚だけで体を操れるようになりたい」という意味です。理論でガチガチに固めるのではなく、天性の感覚(天才性)を信じて滑りたいという彼女の決意の表れです。
Q&A:海外選手がジャッジに意見を言うのはルール違反ではないのですか?
→ 公式な抗議はルールに則って行われますが、今回村瀬選手が明かしたような「基準に関する意見交換」は、競技をより良くするためのディスカッションという名目で行われます。しかし、これが実質的なロビー活動となり、特定の国に有利な風潮を作ってしまう危険性は常に指摘されています。
Q&A:スロープスタイルとビッグエアで採点基準は違うのですか?
→ ビッグエアは一つのジャンプの完成度を競うため、比較的難易度が反映されやすい傾向にあります。対してスロープスタイルは複数のセクションの「流れ」を重視するため、ジャッジの主観が入り込みやすく、不可解な採点が起きやすいのは圧倒的にスロープスタイルです。
Q&A:次の2030年五輪に向けて、日本勢はどのような対策が必要ですか?
→ 高回転という武器を磨き続けるのはもちろんですが、今後は「ジャッジに文句を言わせないほどの圧倒的なスタイル(美しさ)」の両立が不可欠になります。また、日本チームとしても国際的なルール策定の場に強く関与し、政治力でも負けない体制作りが求められます。
まとめ:スノーボードの「不可解採点」を読み解くポイント
今回のミラノ五輪で浮き彫りになったスノーボードの採点問題は、単なる特定の選手の不運ではなく、競技が進化する過程で生じた大きな歪みと言えます。村瀬心椛選手という「100年に1人の天才」が感じた違和感は、今後の競技のあり方を問い直す重要なメッセージです。
- 不可解採点の背景には、高回転を評価しすぎない「クオリティ重視」への急激なシフトがある
- 海外勢による「日本包囲網」とも取れるジャッジへの働きかけが、基準の不透明さを加速させている
- 村瀬心椛は、結果を真摯に受け止めつつも、自分のスタイルを曲げない強さを貫いている
- スノーボード特有の「印象評価」には限界があり、AI導入などの構造改革が求められている
- 視聴者は、スコアという数字の裏にある選手の挑戦と競技の政治的側面を知る必要がある
- 次の4年に向けて、選手は**「技術」と「スタイル」の究極の融合**という高い壁に挑むことになる

