車の運転中に突然スマートフォンから緊急地震速報が鳴り響いたり、激しい横揺れに襲われたりしたとき、どう行動すべきか迷う方は多いのではないでしょうか。
とっさに急ブレーキを踏んでよいのか、車から降りるべきか車内に留まるべきか、判断に迷う場面は少なくありません。
特に近年主流となっているスマートキーの車では、避難時に鍵をどこへ置くべきかという疑問も生じやすいポイントです。
この記事でわかること
- 地震発生直後の安全な停車手順
- 車を置いて避難する際の鍵の扱い
- 高速道路やトンネルなど場所別の行動
- 運転中に絶対に避けるべき危険な行動
運転中に地震が起きたらどうする?命を守る緊急初動3ステップ

運転中に強い揺れを感じた際は、慌てずに段階を踏んで安全を確保することが大切です。
警察庁の教則でも、急ハンドルや急ブレーキを避けて道路の左側に安全に停止させることが基本原則として定められています。
まずは身の安全を最優先にし、次の3つの手順で落ち着いて行動しましょう。
| 項目 | 初動の対応基準 |
| 発生直後(0〜数分) | ハザードランプを点灯し、緩やかに減速して道路左側に停車する |
| 停車後 | エンジンを停止し、揺れが収まるまで車内で待機する |
| 情報収集 | カーラジオ(AM/FM/1620kHz)や公式防災情報で状況を確認する |
| 避難判断 | 周囲の危険度や緊急通行車両の妨害にならないかを確認して行動する |
ステップ1:慌てずハザードを点灯し緩やかに道路左側へ停止
走行中に突然の激しい揺れを感じると、タイヤがパンクしたような感覚に陥ることがあります。
パニックになって急ブレーキを踏むと、後続車からの追突事故を招く危険性が高まります。
まずはハザードランプを点滅させ、前後の車両へ異変を知らせながら徐々に速度を落としましょう。
周囲の安全を確認した上で、道路の左側端へゆっくりと車を寄せて完全に停車させます。
ステップ2:エンジンを切り揺れが収まるまで車内で待機
車を道路左側に寄せたら、速やかにエンジンを停止させます。
揺れが続いている最中に慌てて車外へ飛び出すと、倒壊した建物や落下物、切れた電線による事故に巻き込まれるおそれがあります。
車体自体が落下物から身を守るシェルターの役割を果たしてくれるため、揺れが収まるまではシートベルトを締めたまま車内で身構えましょう。
ステップ3:カーラジオやスマホで正確な災害・交通情報を収集
大きな揺れが収まったら、まずは正確な状況把握に努めることが重要です。
大規模な地震直後は携帯電話の通信網が混雑し、ネットが繋がりにくくなるケースが珍しくありません。
カーラジオを起動し、NHKのAM/FM放送や各自治体の緊急放送を受信して震源地や道路の通行止め情報を確認してください。
高速道路を走行していた場合は、周波数を「1620kHz」に合わせることでハイウェイラジオの道路交通情報を受信できます。
車を置いて避難するときの正しいルールと注意点

地震の規模や火災の発生状況によっては、車をその場に残して徒歩で避難所へ向かう必要が出てきます。
車を離れる際には、後から救助活動を行う緊急車両の通行を妨げない配慮が法律上も求められます。
道路交通法第49条の3では、災害時に緊急車両の通行を確保するため、警察官や道路管理者が現場の車両を同意なく移動できる規定が設けられています。
ドアロックは厳禁!キーは車内の分かりやすい場所に置く
やむを得ず車を路上に残して避難する場合、ドアロック(施錠)は絶対にしてはいけません。
自衛隊や消防、警察などの緊急車両が道路を通る際、放置車両を動かして進路を開ける必要があるためです。
窓を完全に閉めた後、車のドアはロックせず、鍵は車内に残しておくことが公的な交通ルールとして定められています。
盗難の心配がある場合でも、人命救助や緊急通行の確保が最優先される場面であることを意識しましょう。
スマートキー(電子キー)車はどう置くべきか
従来の差し込み式キーではなく、プッシュスタート式のスマートキーを搭載した車が増えています。
スマートキー車を置いて避難する際は、運転席のシート上やセンターコンソールのカップホルダーなど、外から一目でわかる位置に置いておきます。
ダッシュボードの上など、誰が見てもすぐに鍵だと気づける場所に配置するのが実用的です。
一部の車種では鍵を車内に残してドアを閉めると誤作動でインロックがかかる場合があるため、降車時にドアが開く状態になっているか手動ノブで確認しておくと安心です。
車検証と貴重品は持ち出し、連絡先メモを残す
車を離れる際には、車検証ケースごと手元に持ち出して避難することをおすすめします。
車検証には所有者の個人情報が記載されているため防犯対策になるだけでなく、後の再発行手続きや罹災証明の申請時にも役立ちます。
現金や身分証明書などの貴重品を確実に持ち出した上で、フロントガラスの内側やダッシュボードの上に緊急連絡先を記したメモを残しておきましょう。
「氏名・連絡先電話番号・移動先の避難所名」をメモ用紙に記載して外から読めるように置いておくと、車両移動時の連絡がスムーズになります。
【走行中場所別】高速道路・トンネル・橋の上での地震対処法

走行している道路の構造や周囲の環境によって、地震発生時のリスクと取るべき避難行動は異なります。
立地に応じた危険要素をあらかじめ知っておくことで、いざというときの生存率を大きく高めることができます。
特に高低差がある構造物や密閉空間では、二次災害を防ぐための慎重な判断が求められます。
高速道路:のり面やトンネル坑口を避けて路肩に停車
高速道路で強い地震に遭遇した場合は、後続車への合図とともに減速し、路肩などの非常駐車帯へ寄せて停車します。
道路脇の土砂崩れの危険がある「のり面」の直下や、落石のおそれがある「トンネル坑口付近」は避けて停車位置を選びましょう。
停車後はハザードランプを点灯させたままにし、必要に応じて発炎筒や停止表示器材(三角停止板)を後方に設置して安全を確保します。
情報板の表示やハイウェイラジオの案内に従い、道路管理者の指示があるまでは勝手に本線上を歩き回らないようにしてください。
トンネル内:出口が近ければ脱出、難しければ非常口へ避難
トンネル内で揺れを感じた場合、前方に明かりが見えて出口がすぐそこにある状況なら、そのまま低速でトンネル外へ脱出するのが原則です。
出口まで距離がある場合は、ハザードランプを点灯して左側の壁際に寄せて車を止めます。
火災が発生したり煙が充満したりしたときは、キーを残して車を降り、非常口から避難坑へ脱出してください。
高速道路の長大トンネルでは、概ね200メートルから750メートル程度の間隔で非常口が設けられており、案内標識に沿って逃げることが可能です。
橋の上・高架橋:継ぎ目の段差に注意し徐行で通過
橋梁や高架橋を走行中に地震が発生した場合、路面の伸縮装置(ジョイント部分)に急激な段差や亀裂が生じるリスクがあります。
急制動をかけるとタイヤが段差に乗り上げてコントロールを失う恐れがあるため、ハンドルをしっかり握って徐行しながら進みましょう。
落橋や道路崩落の危険がある構造物の上に留まり続けるのは避け、可能であれば橋を渡りきった安全な平地まで車を進めてから停車するのが賢明です。
もし道路の損傷が激しく前進できない場合は、無理をせず左側に寄せて停車し、速やかに車外の安全な歩道部へ避難してください。
運転中の大地震で絶対にやってはいけないNG行動
地震発生時の運転では、良かれと思った行動が周囲を巻き込む重大な事故や、救助活動の遅れに繋がることがあります。
平常時とは全く異なる道路状況になるため、禁止事項を正しく認識しておくことが欠かせません。
ドライバー一人ひとりの判断が、地域の防災活動全体の円滑さを左右します。
パニックによる急ブレーキと急ハンドル
緊急地震速報の警報音や突然の揺れに驚き、力任せにブレーキを踏み込んだりハンドルを大きく切ったりすることは極めて危険です。
高速走行時はもちろん、一般道であっても後続車が同様に揺れに対応している最中であるため、玉突き事故を誘発します。
路面の隆起や地割れに急ハンドルで突っ込むと、車両が横転するリスクも格段に跳ね上がります。
揺れを感じたらまずはアクセルから足を離し、フットブレーキを数回に分けて踏みながら徐々に減速することを徹底してください。
道路の中央に車を放置すること
揺れに恐怖を感じて道路の中央車線や交差点の真ん中にそのまま車を乗り捨てて逃げる行為は、絶対に避けなければなりません。
放置された車両は、救急車や消防車、自衛隊などの緊急通行車両の通行を物理的に完全に遮断してしまいます。
自分自身の避難を急ぐあまり道路を塞いでしまうと、結果として地域全体の消火活動や人命救助を大きく遅らせることになります。
必ず道路の左側端、あるいは道路外の安全な空き地や駐車場まで移動させてから車を離れるようにしてください。
もしもの時に命を繋ぐ!車に積んでおきたい防災グッズ

地震によって車が立ち往生したり、帰宅困難となって車中泊を余儀なくされたりする場合に備え、車載専用の備えをしておくことが推奨されます。
家庭用の防災セットをそのまま車に置くのではなく、過酷な車内温度の変化に対応できるアイテムを選ぶことが肝心です。
以下の表を参考に、コストや機能、耐久性のバランスを考慮して備蓄を進めましょう。
| アイテム名 | 選び方の基準・スペック | 備えておくべき理由 | 向いている保管場所 |
| 耐熱保存水・非常食 | 耐温度域がマイナス20度から80度前後に対応したもの | 夏場70度を超える車内環境でも品質が劣化しないため | トランク・座席下 |
| 脱出用レスキューハンマー | シートベルトカッター一体型のJIS規格認証品 | 地震によるドア変形や水没時にガラスを割って脱出するため | 運転席の手が届く場所 |
| 緊急用携帯トイレ | 凝固スピードが速く防臭・抗菌性能が高い密閉タイプ | 道路封鎖による長時間の渋滞やインフラ停止時に必須となるため | ドアポケット・グローブボックス |
夏・冬の過酷な車内環境に耐える保存水・非常食
車内は季節によって温度変化が非常に激しく、真夏の直射日光下では室温が70度以上、ダッシュボードは80度近くまで上昇します。
一般的なペットボトル飲料やレトルト食品を常備していると、容器の変形や内容物の腐敗を招く恐れがあります。
防災用として市販されている車載専用の耐熱保存水や、長期保存が可能なビスケット・羊羹などを選ぶのが基本です。
断熱仕様のアルミバッグや発泡スチロール製のボックスにまとめてトランクへ収納しておくと、熱の影響を大幅に軽減できます。
脱出用レスキューハンマー(脱出用ハンマー)とモバイルバッテリー
地震の揺れによって周囲の構造物が倒壊し、車のドアが歪んで車内に閉じ込められる危険性も想定されます。
水没やドア開閉不能時に窓ガラスを確実に粉砕できるよう、脱出用レスキューハンマー(脱出用ハンマー)を運転席の近くに常備しておきましょう。
また、災害時の長期待機や避難行動において、外部との連絡や情報収集を保つためのモバイルバッテリーも不可欠です。
バッテリー類は直射日光や高温に弱いため、乗車時に持ち込むか、車内の直射日光が当たらない涼しい場所で適切に管理してください。
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地震発生時の車の運転に関するよくある質問
車に乗ったまま津波から避難してもよいですか
津波警報が発令された沿岸地域では、原則として車を置いて高台へ徒歩で避難することが推奨されています。
東日本大震災では多くの車が避難渋滞に巻き込まれ、車内に乗ったまま津波被害に遭う事例が相次ぎました。
ただし、避難場所まで遠く徒歩では間に合わない過疎地域や、自力歩行が困難な高齢者・乳幼児を同乗させている場合に限り、地域の防災計画に基づき車での避難が認められているケースもあります。
地域のハザードマップや指定避難ルールの指示をあらかじめ確認しておき、現場の避難誘導に従ってください。
スマートキーを車内に残して盗難される心配はありませんか
車内に鍵を残し、ドアロックを解除した状態で車を離れることに対して、防犯上の不安を感じる方は少なくありません。
しかし、大災害時には人命救助や緊急通行車両のルート確保が何よりも優先されるため、教則や法令上も解錠とキーの車内残置が求められます。
車内の金品や車検証などの重要書類をすべて手元に持ち出し、貴重品を車内に残さないことで盗難リスクを最小限に抑えましょう。
フロントガラスに見やすい連絡先メモを掲示しておくことで、正当な避難措置であることを周囲に示すことができます。
地震保険で車の被害は補償されますか
一般的な自動車保険の車両保険では、地震・噴火・津波による損害は原則として補償の対象外となっています。
地震による地割れへの転落、家屋倒壊による車両の潰れ、津波による流失をカバーするためには、特約として「地震・噴火・津波車両全損時一時金特約」などを付帯しておく必要があります。
加入している任意保険の補償内容を確認し、大規模災害への備えがどの程度カバーされているかを事前に見直しておくことが重要です。
まとめ:運転中に地震が発生したときの対処法を押さえて安全を確保しよう
運転中の地震は誰にとっても予期せぬ恐怖ですが、適切な初動と避難ルールを事前に知っていれば、命を守り周囲への二次被害を防ぐことができます。
突然の揺れに直面してもパニックにならず、まずは安全に減速して左側に寄せる姿勢を身につけておきましょう。
車を離れて避難する際も、社会全体の救助活動を妨げない正しいマナーを実践することが大切です。
まとめポイント
- 強い揺れを感じても急ブレーキは避け、ハザードを点灯して緩やかに減速する
- 道路の左側端に寄せて安全に停車し、揺れが収まるまで車内で待機する
- カーラジオや公式防災アプリを活用して正確な道路・被害情報を把握する
- 車を置いて避難する際はドアロックをせず、スマートキーは目立つ場所に置く
- 車検証や貴重品は必ず持ち出し、外から見える連絡先メモをダッシュボードに残す
- 車載用には真夏の高温や真冬の低温に耐えられる専用の防災グッズを備蓄する
参考情報・公的指針:

